「体質」と「体内バランス」を知る
前回までは自律神経の乱れや生活習慣により冷えが起こりやすいことを
お話ししました。
ところで、多くの漢方薬はその人の体質や症状に合ったものでなければ
十分に効果を発揮することが出来ません。漢方治療をするために体質や
症状を判断する「証(しょう)」と「気・血・水(き・けつ・すい)」
を理解する必要があります。
〇「証(しょう)」は「体力」や「病気に対する抵抗力」を示します。
分け方のひとつに「虚・実(きょ・じつ)」があります。体力や病気に
対する抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」といいます。
体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」といいます。
漢方を選ぶ時にとても大事な指標です。
〇体内を巡る「気・血・水(き・けつ・すい)」はそれぞれバランスを
保ち健康を維持しています。これらが不足したり偏ったりすると体の
不調や病気が起こると考えられます。
「気・血・水」とそれぞれの不調を以下に説明します。
✿「気」生命のエネルギーや精神状態を表します。
気虚:気が不足し気の低下した状態(だるさ、無気力)
気逆:気の流れが下から上に逆流する状態(のぼせ、動悸)
気うつ:気のめぐりが悪く気分が憂うつな状態(息苦しさ、頭重)
✿「血」血液やその流れを表します。
お血:血のめぐりが悪い状態(月経の異常、肩こり、便秘)
血虚:血が不足した状態(貧血、肌の乾燥)
✿「水」リンパ液や汗・尿などの体液を表します。
水毒:体内に水分が貯留・偏在している状態(むくみ、めまい、下痢
膝の痛み、頭痛、排尿の障害)
漢方は主にこの「証」と「気・血・水」の2つの指標から処方を決め
不調に対して体質に合った漢方薬を見つけていきます。
元気いっぱいのような人が、診察するとお腹がひやっとしていたり実は
冷えがあるのに気が付いていないこともあります。
次回は「冷えの漢方薬」のこと。
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